ADLとは、一般的には日常生活動作と訳される言葉であり、日常生活を送るうえで普段から何気なく行っている動作のことです。歩行や食事、入浴などの基本的な行動を指します。日常生活をどれだけ自力で行えるかを計る指針となり、必要となる介護の程度を見極めるためにも、介護業界では重要な概念として扱われています。
ADLと関係のある言葉にQOLがあります。生活の質と訳され、どれだけ人間らしく充足した生活を送れるかを計る概念です。寝たきりの方であればADLは低い状態にありますが、本人の意思に沿った介護を受けることで満足できる生活を送れるのであれば、QOLは高いと考えられます。逆にADLがある程度行えていたとしても、思うような生活を送れずQOLが低くなってしまうのは良い状態とは言えません。QOLは、障がいを持ちADLが回復することが見込めなくても社会参加や自己実現は可能であるという主張から広まった概念です。元々はリハビリテーションの分野で使われていましたが、現在では介護の世界でも浸透するようになりました。
近年QOLが重要であると考えられるようになりましたが、では寝たきりのまま介護を受けて生活することと、ADLを高め自立的な生活を送れるようになることではどちらが良いでしょうか。身の回りのことは自分でしたいと考える方も多いことでしょう。QOLが重要視されるようになりましたが、ADLの向上を軽視してはいけません。2つの概念は深く関係しており、どちらも大切にする必要があるのです。