介護におけるADLとは、日常生活を送るうえで無意識に取っている行動のことを指します。例えば、入浴や排泄、食事などのことで、ADLが自立していなければ身体介護や生活援助などの介護が必要であると考えます。このADLが自立しているか自立していないかという点は介護が必要かどうかを考える時に非常に重要な問題になってきますが、仮にADLが自立しているからというだけで介護は必要ないという判断ができるのでしょうか。
ADLが自立している高齢者がいたとしても、毎日問題なく行っているとは限らないでしょう。中にはADLができるという客観的な判断だけで、体に負担を感じながら無理に行っているという場合もあるのです。そのような人たちに対してADLができるから介護の必要がないという判断を下してしまうのは大問題と言えます。
また、介護におけるADLを考える際には、同時にIADLに関しても考えなければなりません。IADLとは買い物や掃除、洗濯など、手段的な動作のことを指します。ADLができているからと言ってIADLもこなせるとは限らず、誰かの助けが必要になってくることもあるのです。
このように高齢者がどのような状態にあり、介護業界がどのようなサービスを提供するのが最適であるのかをしっかりと考えることは重要です。ADLやIADLなど、高齢者が無理なくできているのか、無理な状態でありながもなんとかできただけなのか、見極めるようにしなければなりません。その判断を見誤ってしまったらサービスの提供が不十分になってしまう可能性があることをよく知っておきましょう。